曰く“ワイヤレスヘッドホン史上最高音質”。平面駆動+THXアンプ内蔵のBluetoothヘッドホン「Drop x THX Panda」

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Drop x THX Panda
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GroupBuyサービスのDrop Inc.が、オリジナルのワイヤレスヘッドホン「Drop x THX Panda」をアナウンスした。

IndieGoGoでクラウドファンディング実施中で、349ドル以上の出資で1台入手できる。手持ちの機材から密閉型ヘッドホンが無くなったのもあって自分も出資してみた。届いたらインプレッション的なものを書くつもりですが、8月の受け取り枠で出資したので届くのは遅い。あと夏に着けるには暑そう……

ゲーマー向けにブームマイク付きのケーブル(ケーブル単体または本体セット)も出資受付中。

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特徴

特徴は以下の5つで、全て“ヘッドホンとしてDrop Pandaが世界で初めて搭載”するとのこと。

  • ワイヤレスなオーディオマニア向けシステム
  • Drop独自の平面リボンドライバー採用
  • THX AAAアンプ内蔵
  • Qualcomm製SoC「QCC5125」搭載でLDACも対応
  • 内蔵アンプ駆動のアクティブモードと有線接続の外部アンプ駆動のパッシブモードで周波数特性と全高調波歪が一致するように調整済み

事実上の「ワイヤレス版OPPO Digital PM-3」

平面リボンドライバーですが、Dropの完全なオリジナルではなく、2018年に事業を畳んだ米OPPO Digitalが販売していた(既に生産終了)ヘッドホン「PM」シリーズで使われていたドライバーをベースに、Dropがカスタムしたもの。

Drop曰く「高感度と一貫性を両立するため、強磁性高品質のネオジム磁石を備えた「FEM最適化マグネットシステム」を採用。7層構成のダイヤフラムは熱応力および振動下でも優れた動作で、平面駆動により真の位相コヒーレンスな駆動を実現するほか、螺旋状の導体パターンで磁場内に倍の数の導体を配置し、より高感度、より良い減衰、駆動力を生み出す両面螺旋コイル設計を採用。誘導性コンポーネントを排除することでインダクタンス関連の相互変調歪のない純粋な抵抗性インピーダンスを持つ」とのこと。

OPPO DigitalのPMシリーズはPM-1からPM-3まで3機種(というか3世代?)あったが、ベースになっているのはPM-3のドライバーらしい。製品の3DモデルでもたしかにOPPOのドライバーと同じに見える、というかヘッドホン自体の見た目も似ている。

Pandaの構造

ドライバーが同じなので基本的に音の傾向もPM-3準拠であるものの、Drop共同創業者兼CFO(最高製品責任者)のWill Bright氏は音のチューニングについて「(PM-3よりも)低音は少しタイトに、中音域はほぼ維持、高音は暗すぎるという評価が多かったため、わずかに持ち上げている」と説明している。

実際にローンチパーティーの会場にPM-3とiFi-Audioのnano iDSD Black Labelを持ち込んでDrop Pandaと聴き比べた人によれば、「中音域はほぼ同じ、高音はもう少しキラめきがある、低音はより前に出ているが音の濁りはない」とのことで、あくまで限られた時間での聴き比べだったと注釈はあるものの、「PM-3で評価されていた中音域を維持しつつ、より楽しく元気になったバージョン」と評しているので悪くなさそう。

THX AAAアンプ内蔵

これが最大の特徴だと思いますが、内蔵アンプにTHXの低雑音アンプテクノロジー「THX Achromatic Audio Amplifier (AAA)」を採用しています。THX AAAは低ノイズアンプ技術で、詳しい話は端折るので下のエントリー読んでね。

AAAには用途別にいくつか設計があり、Pandaで採用されているのはTHXAAA-0。カタログ仕様は下記の通り。

モデルTHXAAA-0
シリーズAAA Catalyst
フォーマットリファレンスデザイン
種別電源統合ステレオアンプ
想定用途Bluetooth
無線
ノイズキャンセリングヘッドホン/イヤホン
回路サイズ14 x 35 x 2 mm
出力 (16Ω/ch)63 mW
出力 (32Ω/ch)45 mW
出力 (300Ω/ch)8 mW
THD (16Ω, -3 dB 1 kHz)-133 dB
THD (32Ω, -3 dB 1 kHz)-137 dB
THD (300Ω, -3 dB 1 kHz)-137 dB
出力ノイズ電圧(A特性)2.6 uVms
SNR(A特性)113 dB

まぁ諸特性を見てもHi-Fiを自称するヘッドホンに乗せるアンプとして十分な性能でしょう。

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aptXのほかLDACに対応。No DSPかつワイヤレスだけど有線でも使える

ワイヤレス接続の要になるSoCは、Qualcomm製の「QCC5125」を採用。aptXは勿論、ソニーが開発したBTコーデックのLDACもサポートします。

Pandaで凝ってるなぁと思ったのは、DSPによる音響調整をしていないところ。

ワイヤレスヘッドホンはワイヤレス接続のためにSoCを載せていますが、大抵のワイヤレスSoCにはDSPチップも内蔵されているため、大体の製品がEQだったり位相の調整だったりをDSP処理して鳴らしている。

一方Pandaは、DSPを使わずにイヤーカップ内部に吸音材を仕込んだりしてアナログでチューニングしていて、当然QCC5125にもDSPが入っているので「載ってるなら使わないのも勿体ない」とも言えるけど、アナログでチューニングされている方がオーディオオタクのウケは良いでしょう。

DSP不使用のために、QCC5125自体は対応しているアクティブノイズキャンセルも使わないという潔さで、ハンズフリー通話用にマイクも載ってるのにノイズキャンセルは単純な密閉性だけでやるという玄人好みな拘りっぷりです。

イヤーカップ内側に複数の吸音材を配置したりとアナログな音響チューニングが行なわれている

ワイヤレスヘッドホンとしては珍しく、有線でアナログ接続できる「パッシブモード」を備えるというのも特徴。有線接続時はアンプをバイパスするそうで、手持ちの好きなアンプと繋いで単純に密閉ヘッドホンとしても楽しめる。

アナログチューニングのお陰で、内蔵THX AAAアンプ駆動のアクティブモードとパッシブモードで周波数特性と全高調波歪が一致しているので、どちらで使っても遜色ない音が聴けるというのもウリ。正直夏とかヘッドホンを着けるにはしんどいこともあるので、自宅でアンプと繋いで使おうと思っていた自分には好ましい。

仕様

公称値は以下の通り。ついでにPM-3の仕様も併記しました。

仕様Drop PandaOPPO Digital PM-3
ヘッドホンタイプ密閉型同左
ドライバー55 mm 平面リボン磁界駆動ドライバー同左
インピーダンス26Ω同左
感度100 db @ 1 kHz / 1 mW102 dB @ 1 mW
周波数応答10 Hz – 50 kHz同左
全高調波歪94 dB SPL @ 300Hz < 0.1%n/a
遮音性能-40 dBn/a
BluetoothVersion 5.0n/a
通信範囲約10m(直線)n/a
バッテリー駆動時間30時間超n/a
内蔵アンプTHX-AAA-0(THD: -130 dB, ノイズ: 2.6 uV A-wt, 消費電力: 10 mW)n/a
マイクデュアルマイク搭載n/a
入力端子USB Type-C, 3.5mm TRS(ステレオミニジャック)3.5mm TRS
重量375 g310~320 g
防水性能IPX4n/a
付属品キャリングケース, 充電用Type-Cケーブル, 3.5 mm AUXケーブル(1.42 m)キャリングケース, 6.5 mmフォーンケーブル(3 m), 3.5 mmケーブル(1.2 m)

見ての通り、同じポータブル用途の密閉型でドライバーも継承しているので、公称値は殆ど同じ。地味にIPX4の防水仕様なので雨の日くらいなら浸水を気にせず使えそう。PM-3と違ってイヤーカップが回らず畳めないのでかさばりそうなのは欠点。

計測値

Head-Fi.orgによるPanda試作版の周波数応答と全高調波歪の測定結果は以下。

試作機の周波数応答(20 Hz to 20 kHz / 90 dBSPL @ 1 kHz / 非補償)

確かにアクティブモードとパッシブモードでほぼ同じ音ですね。

試作機の全高調波歪(20 Hz to 10 kHz / 90 dBSPL @ 1 kHz)

THDもモードによらずほぼ一致している。

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ワイヤレスPM-3を求めていた人は出資してみては

かなり昔にOPPO PM-3を試聴した時には、太い低音と中音域が印象に残っていて、高域の抜け感がなくボーカル帯はスッキリしない音だった記憶がある。Pandaではそのあたりが改善されていると嬉しいけど、どうなるかな。

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