「安くなる」はずだったSSD相場に暗雲―品薄で値上がりの可能性も

Memory / Storage
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GPUやCPUだけじゃなく、SSDも半導体供給不足の波から逃れられず。

TrendForceが公開した調査レポートで、供給過多で値下がりしていたNANDフラッシュが、値上がり傾向に変わりつつあることが報告された。さらに12月の調査レポートでNANDフラッシュコントローラーが供給不足にあることも明らかに。

最終的にSSDの出荷が減れば、品薄/値上がりになるかもしれない。

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半導体不足でSSDコントローラーが値上げ

まず年末から続くNANDフラッシュコントローラー(SSDコントローラー)の供給不足について。

最先端プロセスのファウンドリだけでなく、OSAT (Outsourced Semiconductor Assembly and Test: 半導体後工程で組み立て及び最終検査を請け負う外部委託業者)の生産能力も昨年末から不足気味に陥っているとのこと。

この影響で、コントローラーICを設計して製造は外部に委託しているサプライヤーの場合、昨年末の時点で大半が新規の注文見積もりを一時停止しており、サプライヤーは2021年第1四半期でのコントローラーICの値上げを検討。値上げ幅は15〜20%程度とされている。

SSDは大まかに言えば、データが記録されるNANDフラッシュと、NANDに読み書きするためのコントローラーから構成されますが、後者が足りなくなっているという話。

SSDコントローラーの設計大手といえばPhisonやSilicon Motionなどですが、これらの企業はIC設計/販売だけでなく、注文に応じて構成をカスタムしたSSDを納品するモジュールハウスでもあるため、その顧客であるAdataやGIGABYTE、CFDのようなブランドのSSDは値上げの影響をもろに受ける。

NANDサプライヤーブランドのSSDは価格据え置きか

一方で、NANDフラッシュ大手サプライヤーであり自社SSDも製造しているSamsungやSK Hynix、Micron、Western Digitalなどの場合、長期契約でファウンドリ製造される自社のコントローラーICを確保しているため、昨年末時点でSSDコントローラーが値上げしたり不足するといった報告はされていない。

ただし、それらのSSDコントローラーICの納品にかかっている時間(リードタイム)は延びており、余裕があるとは言えない状況にある。

コントローラー含めて自社Fab製造のSamsungに関しては無関係な話ですが、他社が値上げするかもしれない時に値下げするとも考えられないので、価格据え置きが妥当な予想。

理由は異なりますが、SamsungもSSDコントローラーの生産不足に……

一般的に調達部品の価格が上がると、粗利益率の低いエントリーレベルの製品がまず値上げされ、ハイエンド製品は一時的には粗利を削って対応されることが多い。

しかしSSDの場合は、ハイエンドにあたるPCIe 4.0接続のNVMe SSDではSATA SSDなどに比べてPhisonなど外注SSDコントローラーの採用比率が高いため、通例と異なりハイエンドSSDへのインパクトも大きくなる恐れがある。

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「安くなる」はずのNANDフラッシュも値下げが鈍化

一方、このところ供給過多が続き値下がりが激しかったNANDフラッシュは、2020年のノートPC販売が好調だったことでPC OEMがSSDの追加発注を行うなど、需要が増加。一部のスマートフォンブランドは積極的な在庫調整を行ったこともあり、NANDフラッシュサプライヤーの在庫はすでに大幅に減少しているらしい。

まだSSDのような最終製品の価格へ影響は出ていないものの、2021年第1四半期でデータセンターセグメント顧客のNANDの調達が予想されているため、NANDフラッシュサプライヤーはそちらへの対応としてウェハの供給を縮小。

サプライヤーの優先順位が低いためウェハが最初に供給不足の影響を受ける。

ウェハは他の製品カテゴリーに比べて粗利率が低いため、12月~1月の2ヶ月間にかけてウェハの契約価格の下落にブレーキが掛かっている。実際、2月に入って一部サプライヤーはウェハを値上げしたという話もある様子。

1xxL NANDへの移行が進まず9xL世代が供給不足に

また、2021年第1四半期のノートPC向けSSDでは1xx-Lプロセス(100層以上)への移行が期待されていたほどスムーズに進んでおらず、OEMによる1xx-L製品の試験や承認が遅れているため、大部分が92/96Lプロセスに留まっている。

一方、Chromebook需要などでその他の製品の顧客からも64Lプロセスや92/96Lプロセスへ需要が集中しており、市場全体で見たNANDフラッシュの供給が逼迫している状態にある。

1xxL NANDはチップあたりの記録容量が大きいので、ノートPCのSSDが「ベースモデルで512GB以上が当たり前」くらいにならないと普及が進まないと思われる。

なおSamsung (第5世代V-NAND)やSK Hynixは1xxL NANDのSSDを自社から発売済、Western Digital/Kioxiaは112層NANDの「BiCS5」を出荷中。

Micronは第3四半期から176LプロセスのNANDフラッシュを量産する見込みで、176L NANDではコスト面で大きな改善があるらしい。

ともかく、供給不足は特定の世代(とくに9xL)に需要が集中していることが原因のため、TrendForceでは2021年上半期のNANDフラッシュ価格は下落幅が大幅縮小し、その後サーバーを中心とした強い需要で上昇方向へ弾みをつけると見ている。

2021年第1四半期のウェハ価格予想も修正され、前回予想では前四半期比-10~15%の下落が予想されていたが、新たな予想では“2020年第4四半期以降は比較的堅調な推移”になると改められている。

NANDフラッシュの価格については、データセンターやサーバー向け顧客からの注文の活発化が見込まれているが、SSDコントローラーの品薄・値上げの影響で、PhisonやSMIなどのモジュールハウスからの受注がやや低調に推移すると見られるため、第2四半期では(需給ともに弱含みで)ほぼ横ばいと予想している。

ただし、2021年上半期のノートPC出荷が想定を下回る可能性があること、2021年下半期でパンデミックが徐々に緩和されれば、ノートPC需要がパンデミック以前の水準に戻る可能性もあり、PCメーカーの生産計画が見直される恐れもある。

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供給不足で短期的にSSDが品薄(or 値上げ)になる恐れ

SSDコントローラーは今年に入っても供給不足は続いており、NANDフラッシュも年末から下落幅が縮小していること、さらに春節で中国の工場操業/物流の休止もあるため、4月ごろまでにクライアント向けSSDが供給不足になっていく可能性は高い。

TrendForceの取引価格予測は横ばいとされているものの、メーカーから出荷が絞られれば店頭も品薄になっていくと考えられるため、値上がりも覚悟したほうが良さそう。

2021Q1取引価格修正予測当初予測
eMMC / UFSコンシューマー: +3~8%
モバイル: 横ばい
コンシューマー: +0~3%
モバイル: -5%
エンタープライズSSD-5%-10~15%
クライアントSSD横ばい-5~10%
2D NANDパッケージ(MLC)+0~5%横ばい
3D NANDウェハ(TLC/QLC)横ばい横ばい
NAND全体横ばい-5~10%
Sorce: TrendForce, Feb, 2021
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