CES 2025にて、Ryzen 9000X3Dシリーズの上位モデル「Ryzen 9 9950X3D」および「Ryzen 9 9900X3D」がAMDから発表されました。
シリーズ最上位モデルとなるRyzen 9 9950X3Dは、16コア/32スレッドで最大ブーストクロック5.7GHz、TDPは170W。キャッシュ容量は144MB。
Ryzen 9 9900X3Dは、12コア/24スレッド、最大ブーストクロック5.5GHz、120W TDP、キャッシュ容量は140MBとなっています。
発売は3月で、価格は未発表。
9950X3Dの仕様比較
まずはRyzen 9 9950X3Dを前世代やRyzen 9 9950Xと比較。
CPU | Ryzen 9 9950X3D | Ryzen 9 9950X | Ryzen 9 7950X3D | Ryzen 9 7950 |
---|---|---|---|---|
コアアーキテクチャ | Zen 5 | Zen 5 | Zen 4 | Zen 4 |
コア/スレッド | 16/32 | 16/32 | 16/32 | 16/32 |
ベースクロック | 4.3 GHz | 4.3 GHz | 4.2 GHz | 4.5 GHz |
最大ブーストクロック | 5.7 GHz | 5.7 GHz | 5.7 GHz | 5.7 GHz |
L2キャッシュ | 16 MB | 16 MB | 16 MB | 16 MB |
L2+L3キャッシュ | 128 MB | 64 MB | 128 MB | 64 MB |
TDP | 170 W | 170 W | 120 W | 170 W |
昨年には「9950X3Dは、7950X3Dと異なり2CCDともにX3Dキャッシュ搭載になる」というウワサもありましたが、合計キャッシュ容量は変わらず、明言はされていませんがX3D CCD+通常CCDの混載設計となりました。
1CCDのL3キャッシュが128 MB (X3D)、もう一方のL3キャッシュが64 MBでほぼ確定。期待していた人からすると結構なガッカリポイントかも。
TDPに関しては170Wで、9950Xと同じW数に。7950X3Dでは50Wほど引き下げられていたので、ここは前世代から変わったポイントと言えそうです。
先行して発売された「Ryzen 7 9800X3D」で明かされていますが、9000X3Dシリーズで採用された第2世代V-Cacheテクノロジーでは、キャッシュメモリの上にCPUが積層された配置なので、メモリが上に載っていた初代と異なり放熱性が改善。
今回のTDP上昇も、電圧を上げてクロックを引き上げられる余地が増えた分の増加である可能性が高く、ゲーマーやベンチマーカー的にはポジティブな話かなと思います。
いずれにせよ、現時点で読み取れる範囲では前世代からの劇的な変更点はなく、“Zen 5になったRyzen 9 7950X3Dであり、それ以上でも以下でもない”というのが所感です。
9900X3Dの仕様比較
9900X3Dも同じく前世代ほかと比較。
CPU | Ryzen 9 9900X3D | Ryzen 9 9900X | Ryzen 9 7900X3D | Ryzen 9 7900X |
---|---|---|---|---|
コアアーキテクチャ | Zen 5 | Zen 5 | Zen 4 | Zen 4 |
コア/スレッド | 12/24 | 12/24 | 12/24 | 12/24 |
ベースクロック | 4.4 GHz | 4.4 GHz | 4.4 GHz | 4.7 GHz |
最大ブーストクロック | 5.5 GHz | 5.6 GHz | 5.6 GHz | 5.6 GHz |
L2キャッシュ | 12 MB | 12 MB | 12 MB | 12 MB |
L3キャッシュ | 128 MB | 64 MB | 128 MB | 64 MB |
TDP | 120 W | 120 W | 120 W | 170 W |
9950X3Dと同じく“Zen 5になったRyzen 9 7900X3D”。9900Xよりも最大ブーストクロックが100 MHz低いのは少し気になります。
Ryzen 9 9950X3Dの公称性能
ここからはAMDによる性能比較をチェック。
実ゲーム動作における「Ryzen 9 7950X3D」との比較では、40タイトルでの動作フレームレートが平均+8%アップ。競合のIntel Core Ultra 9 285Kとの比較では平均+20%と主張されています。
7950X3Dとの比較で、『Black Myth: Wukong』や『Cyberpunk 2077』などGPU負荷が高いタイトルでは1-2%の差ですが、『Counter Strike 2』の+58%という異常な伸びは注目したいところ。
CS2ほどではありませんが、CPU負荷が高い『ホグワーツ・レガシー』も+20%と大きく伸びているので、このあたりはZen 5になったことでIPC差が現れている雰囲気。
クリエイティブ系アプリにおける比較では、20アプリを使った計測において、7950X3D比で平均+13%、285K比で平均+10%。
7950X3Dとの平均+13%は、おおよそZen 4 vs Zen 5のIPCの改善(~16%)に近い数字で順当に伸びていそう。
クリエイティブユースでは(というかゲーム以外は)巨大L3キャッシュの恩恵が小さくなるため、「9950Xと同じ性能が発揮できるのか」が気になるところ。
7950X3Dと異なりCCDによる最大クロックの差が小さければ、9950Xに劣るポイントがほぼ無くなるので「ゲームもコンテンツ制作も速い最強CPU」になりますが果たして……レビュー公開が待ち遠しい。
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