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Gateronのメカニカルキースイッチ「CJ Switch (Box)」をしばらく使い込んだのでレビュー。
後述しますが、購入したのは標準ステムのPCBマウント(5 pin)版ではなくBOXステムのプレートマウント(3 pin)版。
購入元はAliExpressで、購入当時は91個で7,515円(送料無料)。注文したのは90個でしたが、中華通販あるあるのおまけで+1個入ってました。
1個あたり82円なので、Gateronのスイッチとしてはちょい高めの価格帯。高すぎもしませんが、90個で安いメカニカルキーボードが買える値段と考えれば安くもない。
遊舎工房でも取り扱いがある。
Amazonマーケットプレイスでも販売されている模様。円安もあってAliより安い。
Gateron CJ Switchとは
Gateron CJ Switchは、中国のゲーム関連大型展示会「China Digital Entertainment Expo and Conference 2021 (CDEC)」に合わせて発売されたメカニカルスイッチ。スイッチ名称はCDECの愛称である“ChinaJoy”から取ったもの。
スイッチ特性はリニアで、押下圧50 gfの5 pin版、同45 gfの3 pin版と2モデルある。
今回はBOXステム3 pinの方をAliExpressで買いました。
仕様
公称仕様値は以下の通り。
仕様 | Gateron CJ (BOX Stem/3 pin Plate Mount) | Gateron CJ (5 pin PCB Mount) |
---|---|---|
スイッチ特性 | リニア | リニア |
キートラベル | 3.4 mm (±0.4 mm) | 4 mm (±0.4 mm) |
アクチュエーションポイント | 1.2 mm (±0.3 mm) | 2 mm (±0.6 mm) |
アクチュエーション押下圧 | 45 gf (±15 gf) | 50 gf (±15 gf) |
初動押下圧(推測値) | 40(?) gf | 40(?) gf |
底打ち押下圧(推測値) | 56(?) gf | 60(?) gf |
動作寿命 | 8,000万回 | 6,000万回 |
トップハウジング素材 | ポリカーボネート | ポリカーボネート |
ステム素材 | POM | POM |
ボトムハウジング素材 | POM | POM |
バネ | 金メッキ / 22 mm | 金メッキ |
ピン | 3 pin | 5 pin |
LED対応 | ○ | ○※ |
Pre-Lubed (Factory Lubed) | ルブ無し/ルブ済み併売 | ルブ無し/ルブ済み併売 |
※BOX版に比べるとスルーホールが小さい&POMの透過率が低いためちょっと暗いらしい
3 pinと5 pinはステム上部の形状だけでなく、押下圧やキートラベル/アクチュエーションポイントも異なる。
5 pinはCherry MXクローンな通常仕様で、3 pinは反応速度重視のいわゆる“スピードスイッチ”仕様。
ルブ済みのものとルブ無しのものと両方売られていますが、何故かAliExpressではルブ済みの方が安かったので、ルブ済みのBOX版を購入。
特徴
最大の特徴は、ステムとボトムハウジンクがポリアセタール樹脂(POM)製であること。
Cherry MXなど一般的なスイッチはトップハウジングがポリカーボネート、ステムがPOM、ボトムハウジングがナイロンという組み合わせが多いですが、Gateron CJの場合はボトムハウジングもPOM採用。
POMはエンジニアリングプラスチックの1つで、弾性が高く耐摩耗性に優れるほか、摩擦係数が低い(自己潤滑性を持つ)という特性があるらしい。
ちなみに、Gateron CJはトップハウジングがポリカーボネートですが、ハウジングとステムがすべてPOMというスイッチ(Durock Full POMとかNovelKeys Creamとか)も存在する。
なぜGateron CJがフルPOMじゃないのかは分かりませんが、POMは不透明(無着色でも乳白色)なので、LED光を透過させるためか、あるいは製造コストの問題か……
そのほかの特徴としては、最近のGateron製スイッチ採用されている新しいハウジングとステム設計により、ステムのガタつきが抑えられているとのこと。
BOXモデルはスプリングが22 mmと長めで、押下圧の変化が小さめ(初動と底打ちの押下圧の差が小さい)。写真等で見る限りGateronのSpeed Silver Proスイッチとほぼ設計が共通なので、“POM版Gateron Speed Silver Pro”っぽい。
使用感
外観
ハウジングとステムの色は青紫で、トップハウジングも半透明のブルー。ちなみに「紫陽花のイメージ」らしい。
ボトムハウジングはLED側がくり抜かれており、トップハウジングもスルーホールがある。
ただし、トップハウジングにも僅かに色が付いているので、多少は色温度が高く見えるかも。
個人的には、バックライト対応を謳うならトップハウジングは普通に無色で良かったかな……
打鍵感
POMの自己潤滑性とLubeの効果?か、非常にスムーズ。ステムとハウジングの擦れ感は小さく、今まで触ったことのある(ルブされていない)スイッチの中では一番滑らかかも。
Pre-Lubedというのも影響しているとは思うものの、塗られていたルブはグリス系ではなくオイル系のようで、潤滑量は軽め。拭き取ってみて比べても劇的に差がある感触はなかった(動作音は変わる)。
もっと滑らかにしたければ手作業でルブをオススメ。ちなみに高粘度のKrytox GPL205g0に塗り替えるとネットリした感触になる(粘り過ぎでスイッチが重くなるので結局剥がした)。
ステム上部の構造上、POMの壁がトップハウジングと接している左右側に対して前後は壁がないので、キーキャップ側のステムがハウジングと接触すると、前後方向の擦れを多少感じるかも(キーキャップ側ステムの太さによる)。
ゲーム用途でも使いやすい
Box版はアクチュエーションポイントが1.2 mmと浅いため、反応速度が求められるゲーミングキーボードにもオススメ。
Gateron CJを使ったからといってApex Legendsでストレイフが上手くはなりませんが、打鍵感が気持ち良ければ操作ミスで死んでも多少は気が紛れる。かも。
動作音
静音スイッチではないので、音は鳴る。
POMハウジングのお陰?か、底打ちの音は少し鈍い「コツコツ」という音。
逆にアップストロークの時には、フルPOMスイッチに比べると「カツカツ」としたプラっぽい音が混ざってくる。
トップハウジングはポリカーボネートなので当然といえば当然ですが、コツコツしていたらなお良かったな……
精度(グラつき)
前述したハウジングのレール設計&BOXステムのお陰で、軸ブレはかなり抑えられている。
軸ブレ皆無!とまではいかずとも、軸ブレを感じやすいハイプロファイル(MT3)のキーキャップと組み合わせても“カチャついている感”が無く、ちょっと感動。
サイドウォールのある左右方向に比べると、前後方向のブレの方が僅かに大きいかも?
ハウジング同士のガタつきについてはかなり良好で、トップハウジングのガタつきはゼロ。ルブのために何度か開け閉めしても爪がガッチリ噛んでいるので、間に挟むフィルム等はタイトすぎて使えない気がする。
個体差
目立って大きいというほどではないものの、多少の個体差はアリ(軸ブレ度合いとか底打ちの音とか)。
まぁ手作業ルブでハウジングを開けているので余計に個体差が出ている可能性も高いですが……
総評
項目 | 評価 |
---|---|
外観 | |
打鍵感 | |
動作音 | |
ガタつき | |
個体差 | |
コストパフォーマンス | |
満足度 |
とにかく滑らかな打鍵感と軸ブレの小ささが光るスイッチ。
SAやMT3など高さのあるプロファイルのキーキャップでは、背が高いので軸ブレが余計に気になりますが、Gateron CJなら気にせず使えるので、ハイプロファイルキーキャップ愛用者にもオススメ。
またBOX版はアクチュエーションポイント浅め&ストローク短め設計で、同種のゲーマー向けスイッチとしては(恐らく)最高レベルの滑らかさ。ゲーム用途のベストスイッチの1つとして検討の価値アリ。
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